Saffron（スパイス事典）
西南アジアや地中海沿岸を原産とする「サフラン」は、
アラビア語で「黄色」を意味する
「ザアファラーン」が語源と言う説があります。
サフランは、イラン、スペイン、フランス、イタリアなどの他、
日本国内でも主に大分県竹田市で生産されているようです。
サフランとは
サフランは１５～２５cm丈の球根草で、
秋に咲く薄紫色の花に付く雌しべを乾燥させて、
スパイスにします。
ひとつの花から３本しか採れない貴重な雌しべを手摘みで採取。
1㎏分のサフランを採るには、17万個以上の花が必要なため、
一般に流通しているスパイスの中で最も高価と言われています。
それでもなお、サフラン特有の風味と色は人気が高く、
イタリアやスペインなどの
地中海沿岸の料理には欠かせないスパイスとして、
リゾットやパエリアの色付けに使われます。
スペインのラ・マンチャ地方のものが良質と言われています。
非常にデリケートなので、
直射日光は勿論、屋内でも光に注意しましょう。
歴史
元々は西アジア原産で、ギリシャで最初に栽培されたと考えられており、
東地中海地方の古代文明の記録にも登場しています。
古代インドではスパイスとして、
古代ギリシャや古代ローマでは香水の原料として重宝された他、
染料としても珍重され、その鮮やかな黄色は、
王族だけが使うことを許される「ロイヤルカラー」となっていました。
古代エジプトでは、
クレオパトラが愛用した化粧品にも使われていたとも言われ、
現在でも、香辛料、染料、香料、薬用に使われています。
日本には江戸時代末期に渡来し、
生薬として、女性特有の不調の症状緩和に利用されました。
明治19(1886)年に栽培を開始すると、
明治30(1897)年は商品化され、輸出出来るまでに市場は大きくなりました。
スパイスの特徴
香り・風味
香りは非常に強く、少量でも十分な効果を発揮します。
健康効果
「サフラン」の主な主成分は二つ、
「サフラナール」と「クロシン」です。
「サフラナール」には、女性ホルモンの分泌を高める効果があります。
更年期障害や月経前症候群・生理不順などの不調を和らげてくれます。
また、「サフラナール」の体を温め発汗させる作用と
「カロテノイド」の血流促進や血液サラサラ作用の相乗効果により、
冷え性の改善が期待されます。
一方「クロシン」は、
水溶性のカロテノイド系の黄色の色素のことです。
お湯に溶けると橙色になります。
大脳の海馬の神経細胞に作用し、
中枢神経の活性化や記憶力増進に効果的だとされています。
女性ホルモン作用が強いため、
妊娠中・授乳中の女性には向いていません。
子宮を刺激する働きもあるので早産や流産の危険性があります。
過剰摂取をすると危険です。
5gを超えるとめまいなどの副作用が起こるそうです。
美味しい利用方法
色付けのためだけであれば、
ターメリックやサフラワー（ベニバナ）でも代用出来るのですが、
サフランの上品な香りは、唯一無二のもの。
少量でも十分な効果を発揮します。
この独特の香りは魚介系の料理と良く合い、
スペイン「パエリア」や南仏「ブイヤベース」に欠かせないスパイスです。
水に15分以上浸し、キレイな色が出たら、
雌しべごと料理に加えて下さい。
（スープ２人分で０.２ｇ程度が目安）
他にも、イタリアの「リゾット」やインドの炊き込みご飯「ビリヤニ」など、
米料理にもよく使われます。
イギリスの「サフランケーキ」という焼き菓子や、
スウェーデンの聖ルチア祭で食べられるパン「ルッセカット」、
ヨーグルトやアイスクリームに加えて、アクセントにも。
|
ホール
|
パウダー
|
|
めしべの形が分かる
程度の太さのものが良品。
4～5人分のスープや煮込みに
ひとつまみ（10～15本）が目安。
|
ホールよりも着色効果が高く
安定した色が付く。
水に色出ししてから使用する。
|
関連
 サフランティー |
