芳香蒸留水(ハーブウォーター/フローラルウォーター)
芳香蒸留水とは
アロマテラピーで使用される「精油」を生成する時に出来る
「副産物」のようなものです。
「芳香蒸留水」とか「ハーブウォーター」
「フローラルウォーター」とも呼ばれています。
水蒸気蒸留で精油を抽出する際に得られる水溶液で、
水溶性の香りの成分と微量の精油成分を含みます。
そのままスキンケアにお使いいただけます。
化粧水や美容液を作る際に使用する精製水の代用に使えます。
芳香蒸留水の別名
- ハーブウォーター
蒸留される部分は
花部分だけでなく、葉や枝、根など植物全体が含まれるため、
この呼び方はフローラルウォーターより的確で、
同じく一般的な名称です。 - 芳香蒸留水
ハーブの蒸留水なので、
日本語ではこの名称が一般的です。 - ハイドロゾル
フローラルウォーターは、
ラテン語の「水」を意味する
「Hydro」(ハイドロ)という言葉に由来していることから
「ハイドロゾル」と呼ばれることもあります。 - アクアロム
「Aqua」(水)と「aroma」(香り)を組み合わせて、
「アクアロム」とも
呼ばれます。
芳香蒸留水はどのように作られるのか
「水蒸気蒸留法」は、
原料植物を蒸留釜に入れて、そこに水蒸気を送り込みます。
すると植物中にある精油成分が遊離、気化し、
水蒸気と一緒に上昇します。
この精油成分が混入した水蒸気を冷却層で冷却すると
液体に戻りますが、
「精油」(エッセンシャルオイル)は
水には溶けない性質を持ち、
水よりも軽い(一部の精油は水より重い)ため、
「水」と「精油」(エッセンシャルオイル)の2層に分かれて
溜まります。
ここから水と分離して取り出すことにより、
100%純粋の「精油」(エッセンシャルオイル)を得ることができます。
分離された「水」には、
水溶性の芳香成分と微量の精油が残った、
「芳香蒸留水」(フローラルウォーター)として
利用されます。
芳香蒸留水の歴史
精油を抽出する際の副産物である芳香蒸留水は、
実はそのまま捨てられてしまうことも少なくありません。
それほど重要視されていないのが現状です。
しかし昔は貴重なものとして扱われ、
医療の現場でも使用されていました。
フローラルウォーターの始まりは
紀元前5000年とも言われています。
最初はとても原始的な方法で蒸留が行われ、
「ローズウォーター」と呼ばれていました。
アラビア人によって本格的な蒸留技術が生み出されたのは
10世紀に入ってからです。
11世紀には、イブン・シーナーによって
より現代に近い蒸留法になりました。
13世紀に入るとバラを栽培する文化が始まり、
「水冷却法」が確立されたため、
「ローズウォーター」がメジャーなものとなっていきます。
その後、ローズ以外にも
ラベンダーウォーターやネロリウォーターが生まれるなど、
その人気は18世紀までどんどん高まりますが、
精油の方が好まれるようになると、
フローラルウォーターはだんだんと衰退してしまいました。
とは言え、フローラルウォータの未来はとても明るいようです。
フローラルウォーターに関する研究が進み、
市場にその数は増え続け、
今や、その数は約60種類にもなるそうです。
芳香蒸留水の主な効能・利点
フローラルウォーターの部分にも多くの植物の成分が含まれていて、
昔はとても貴重なものとして医療にも使われましたが、
徐々に衰退し、精油の方が好まれるようになりました。
しかし最近になって、
再びフローラルウォーターの効能にスポットライトが当たり、
良さが見直されてきています。
- 禁忌事項が殆どない
芳香蒸留水に含まれる成分の濃度はとても低いため、
禁忌事項が殆どないのが特徴です。
(成分濃度は精油の0.1~0.01%)
精油では刺激が強かったり、
妊娠中は避けなけらばならない植物でも、
芳香蒸留水ならほぼ使用出来ます。
作用はその分ゆっくりですが、安全性は極めて高いと言えます。
(100%安全ではありません。) - スキンケアにいい
植物の種類によって多少の違いはありますが、
基本的に芳香蒸留水には、
保湿効果、角質をケア、肌の引き締め、エモリエント効果、
ピーリング、美白効果、かゆみ止めなどがあると言われています。 - ヘアケアにいい
芳香蒸留水は頭皮環境にもいいと言われています。
フケの防止や頭皮の強壮、脱毛予防、栄養補給による育毛、
かゆみ止めなどが期待できます。 - 使用する人の土地で育ったハーブがよりいい
その土地の旬な野菜を食べるといいと言われるように、
ハーブも使用する人が育った土地の新鮮なものを使用するのがいいと言われています。
芳香蒸留水の使い方
化粧水(ローション)として
スキンケアとしての効能が期待できることから、
芳香蒸留水はそのまま化粧水として使用されることが多くあります。
乾燥肌には「ローズウォーター」、
脂性肌には「ペパーミントウォーター」といった感じに
肌質によって使い分けます。
更に保湿が必要な場合は、
オイルを混ぜたりして
自分の肌に合った化粧水を作ることが出来ます。
飲用として
芳香蒸留水は精油と違って
成分濃度が低いので飲むことが出来る言われてますが、
日本では「雑貨」として扱われているため、
「飲用水」としての芳香蒸留水は普及していません。
どのように蒸留されているかが分からないので、
むやみに飲むことは危険です。
やめておいたほうがいいでしょう。
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リネンウォーターとして
芳香蒸留水の適度な殺菌作用と芳香によって、
そのままリネンウォーターに使用する場合も多くあります。
天然の香りなので、ほのかに良い香りが着くのが魅力です。
ルームスプレーとして
部屋全体を香らせるには、少し香りが少ないかもしれませんが、
部屋の浄化やリフレッシュにはとても向いています。
精油と一緒に
精油の方が成分が凝縮されているので、効果も香りも強いです。
精油の補助的なものとして使用するのにも向いています。
例えば、精製水と精油を使用して手作り化粧品などを作る場合、
その精製水を芳香蒸留水に変えてみる、という形です。
フローラルウォーターの注意点
似ている商品に気を付ける
芳香蒸留水に似ている名前の商品には注意が必要です。
(芳香水、アロマウォーターなど)
中には、
「フローラルウォーター」や「ハーブウォーター」という名称で、
中身は違うものも見かけますので、要注意ですね。
植物の学名や産地をチェック
どの植物が使われているか、
ラテン語の「学名」を見ることが大切です。
学名があることで、
きちんと天然のものから作られていることも分かります。
無農薬・有機栽培で育ったハーブか
質の良い芳香蒸留水は
全て無農薬や有機栽培で育ったハーブから作られています。
そうでない場合は、
残留農薬が含まれていないか、品質のチェックが必要です。
保存期間は精油よりも短く、種類によりますが、
早いもので3か月、長いもので 2年程。
芳香蒸留水は劣化が早いものが多いので、
防腐剤や安定剤を添加している商品も多いため注意が必要です。
有害成分や添加物が含まれていないか
一般細菌、重金属、砒素、カドニウムの残留がないかを
調べる必要があります。
保存性を高めるため、
エタノールが添付されている場合がよくありますが、
肌に使用すると濃度によっては炎症を起こす場合があります。
また、特に輸入品に関しては、
パラベン、フェノール、エトキシエタノールといった
防腐剤が添付されている場合があります。
芳香蒸留水の安定化のために、
アルコールが添付されている場合もあります。
「雑貨」として売られている場合、
これらの添加物の表示義務はないので、
肌に使用する場合は確認が必要です。
特殊体質の方は注意が必要
芳香蒸留水は精油に比べて
有効成分の含有量がはるかに低いため、
禁忌事項はほとんどありませんが、
アレルギーや病気療養中(服薬中も含む)の方は
必ず医師の判断を仰ぎ、自分の体調と相談しながら使用しましょう。
また、肌に合わないと感じたら、
悪化の原因になるので、直ぐに使用を止めて下さい。
(必ずパッチテストをしましょう。)
信頼できるお店で購入する
精油を取り扱っているお店=100%信頼出来るとは限りません。
日本では、アロマ関連グッズは「雑貨扱い」のため、
販売にかかる特別な知識や資格は必要なく、
雑貨屋さんや文房具店、アパレルショップでも
販売出来てしまいます。
もちろん芳香目的であれば過度に気にしなくてよいのですが、
肌や髪に直接使用することが多いため、
信頼できるショップで購入しましょう。
フローラルウォーター一覧
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🌸 タイムウォーター
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