Cardamon(スパイス事典)
爽やかで強い香りを持つショウガ科の植物「カルダモン」は
数あるスパイスの中でも、
その独特の香りが一段と目立つスパイスです。
花が終わって実が付くとまだ青いうちに収穫し、
表皮に皺が入るまで乾燥させてからスパイスとして使います。
カルダモンとは
世界最古のスパイスのひとつで、
栽培や収穫が難しく手間が掛かることから、
「サフラン」、「バニラ」に次いで高価。
原産地インドでは、昔からカルダモンは
「スパイスの王様 the King of spices」とか
「スパイスの女王様 the Queen of spices」
などと呼ばれてきました。
サウジアラビアでは、
真鍮のコーヒーポットの先に
割ったカルダモンを数粒詰めてコーヒーを注ぐ
「ガーワ」と呼ばれるカルダモンコーヒーを飲む習慣があります。
名前の由来
日本でのカルダモンの読みは、
英語の「cardamon(カーダモン)」の日本語読みで、
これは学名でもあるラテン語の
「Elettaria cardamomum(エレッタリア カルダモムム)」に
由来しています。
また一説では、
ヒンドゥー語で「cardia(カルディア=心臓)」の形をした
「amoumum(アモーマム=生薬)」という所から
名付けられたと言われています。
カルダモンの和名は「小荳蒄(ショウズク)」と言って、
健胃効果がある漢方の
「白豆蒄」(びゃくずく)の代用品として日本に伝わりました。
カルダモンの種類
カルダモンには大別して
「グリーンカルダモン」と「ブラックカルダモン」があり、
一般的にレシピ中に「カルダモン」と書かれているものは
「グリーン」を指します。
カルダモンの実は、
まだ青い完熟の一歩手前で収穫し、乾燥させます。
この時、天日干ししたものは「淡い色」に、
室内で乾燥させたものは美しい「緑色」に仕上がります。
中には、見栄えを重視して漂白した
「ホワイトカルダモン」も流通しています。
美味しい利用方法
インドではカレーやデザート、チャイなど幅広く使われ、
「カレーパウダー」や「ガラムマサラ」などの
ミックススパイスに必須。
肉、魚、野菜など合わせる素材を選びませんが、
ひき肉の臭みを消しつつ甘みをつけたり、
ケーキやクッキーなどに使用して
清涼感のある香りを愉しみながら味を引き締めたりと、
幅広く使われます。
フルーツと相性が良く、アップルパイやコンポートに、
シナモンの代わりに使うと、
一味違うエキゾティックで上品な味わいになります。
少量でも香りが高いので使い過ぎないように。
選び方
全体に丸みがあり、ふっくらしたものを選びましょう。
ふっくらしたものは、
さやを割ると中の種が十分熟して黒く、
香りが強いです。
1個のさやの中には、15~20個の種が入っています。
ふくらみのないものは、
種の色が茶色か白色の未熟果で、
香りはほとんどありません。
パウダーは、種をさやごと挽いて
白っぽくて香りは控えめのものと、
種の実を挽いて黒っぽいもの2種類があります。
使い方
香りを堪能するには、
さやから種を出してさやとともに潰します。
まず尖った方を下にして持ち、
平らな面を上から剥いて種を取り出し、
さやごと乳鉢などで軽く潰します。
カルダモンコーヒー
アラブ諸国でおもてなしに供されるコーヒーです。
1人分に付き1粒用意します。
湯を沸かす時に、
種を出して潰したカルダモンをさやごと入れ、
香りが立ったらその場でコーヒーを淹れます。
カルダモンシュガー
カルダモンパウダーを砂糖と混ぜた
「カルダモンシュガー」は、
シナモンシュガーと同じように手軽に使えることから
世界的によく知られています。
脳の活性化にもよいと言われます。
甘い洋菓子やパン、ヨーグルトにふりかけると
よく合います。
健康効果
アーユルヴェーダや漢方薬にも用いられ、
消化促進や口臭防止にも効果があるとされています。
発汗作用もあるため、身体を温める効果が期待されます。
関連
カルダモンティー |
カルダモンコーヒー |
スパイスシュガー |