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唐辛子・チリペッパー

Chili(スパイス事典)

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鮮やかな赤が料理に生えるホットなスパイス

 
日本では「外国から伝わった辛子」を意味する
「唐辛子(トウガラシ)」として知られるチリペッパーは、
熱帯地域全土で200種以上あり、
「レッドペッパー」や「カイエンペッパー」など様々な呼び名を持つ
世界中の食卓に欠かせないスパイスです。
 
 

起源と由来

メキシコの遺跡調査では、
約9000年前から日常的に食べられており、
また6000年前には、
痛みの緩和に唐辛子が使われていたという記録もあります。
原産地の一つであるペルーでは、
インカ帝国の時代以前から栽培されており、
2000年以上前のものと言われる遺跡から、
様々な形のチリペッパーの断片が発見されています。
また、チリペッパーを刺繡した1世紀頃の衣類も見つかっており、
当時の人々にとって、
チリペッパーが非常に重要な存在であったことを示しています。
 
それほど古くから使われてきたチリペッパーですが、
世界中に広がるきっかけになったのは、
15世紀末のコロンブスのアメリカ大陸発見だったと言われています。
その後、スペインに征服されたことをきっかけに、
スペインやポルトガルに持ち込まれ、
地中海料理に使われるようになりました。
同時にアジアにも一気に広まり、
日本には1542年にポルトガル人によって伝えられたと言われています。
 
「ペッパー(胡椒)」が名前についているのは、
ヨーロッパにチリペッパーを持ち帰ったコロンブスが
アメリカ大陸をインドと勘違いし、
インドで栽培されているペッパーの一種とみなしたためです。
 

「チリペッパー」と「チリパウダー」

「チリペッパー」と「チリパウダー」は混合されがちですが、
「チリパウダー」は唐辛子をベースに、
「クミン」「オレガノ」などを混ぜたミックススパイスのことで、
「チリペッパー」は唐辛子のことを指します。
 

スパイスの特徴

香りや風味
香りの特徴
品種によって様々な辛味
 
唐辛子特有の辛味は
「カプサイシン」という成分によるものです。
「カプサイシン」は、
種子がつく中央部(胎座)に最も多く含まれており、
種子だけ食べても全く辛くありません。
 
マイルドなものから燃えるように刺激が強いものまで、
品種によって様々で、種子の周囲が最も辛いです。
焙煎すると辛味だけでなく、香ばしい香りも加わります。
 
なお、赤色は「カロテン」などの「カロチノイド色素」で、
油に溶け、色鮮やかに色を付けることが出来ます。
 
辛さの単位「スコビル値」(Scoville scale)
唐辛子の辛さのレベルを表す単位のことです。
この単位はカプサイシンの割合を示しています。
かつては人の主観でスコビル値を決めていましたが、
現在は、より正確にカプサイシンの量を測定器にかけ直接量る
「ジレット法」などが用いられるようになっています。
 
健康効果
ビタミンAとCを豊富に含み、消化を促進して発汗を促すので、
夏バテに効果的なことから、
世界中の暑い地域では辛い品種が大量に消費されています。
適量であれば健康にも良いのですが、
辛味成分「カプサイシン」は刺激が強く、
過剰に摂取すれば胃腸などに問題を起こすこともあるので
注意が必要です。
 
データ
Data
  • 学  名:Capsicum annuum
  • 別  名:チリペッパー、チリ、
         カイエンペッパー、鷹の爪
  • 科  名:ナス科
  • 原 産 地 :南アメリカ
  • 利用部位:果実、葉
 <主な成分>
   カプサイシン、ビタミンA・C・E、
   カロテノイド(β-カロテン、カプサンシン、
          ルテイン、クリプトカプシン)
 <主な作用>
   消化促進、発汗、殺菌、食欲増進、疲労回復、
   美肌、健胃、発毛、駆虫 など
 
 

唐辛子・チリペッパーの種類

日本の「唐辛子」の種類 ①「赤唐辛子」
日本で「赤唐辛子」と言えば、「鷹の爪」が一般的です。
空に向かって伸びる実の様子が鷹の爪と似ていたため、
このように呼ばれるようになりました。
 
本鷹(ほんたか)
サヤの大きさは5㎝もある大型の唐辛子で、
香川県の「香川本鷹」が有名。
かつて飽の島々では盛んに作られていたようですが、
海外から安いものが大量に入るようになって衰退し、
「幻のとうがらし」と言われています。
近年、復活プロジェクトが発足し、生産出荷に向けた動きがあるようです。
 
三鷹(さんたか)
「本鷹」と「八房」を交配させて生まれた唐辛子です。
鮮やかな赤色と強い辛味が特徴で、
スーパーなどでも手に入る
「一味唐辛子」や「七味唐辛子」にもよく使われています。
かつては愛知県で多く作られていたようですが、
現在は栃木県で主に作られるようになり、
「栃木三鷹」と呼ばれています。
 
熊鷹(くまたか)
日本の唐辛子の中でも特に辛い品種です。
果実は深紅色で、4~8㎝程の細長い形をしています。
福岡県が主な産地で、福岡県以外ではほとんど栽培されていないため、
それ以外の地域ではなかなか手に入らないかもしれません。
 
八房(やつふさ)
「八房」という名前の由来は、房なりに実がたくさん付くからです。
葉の部分を「葉唐辛子」として使うことも出来ます。
主に関東地方で栽培されており、辛過ぎない、程良い辛さが特徴です。
 
 
日光とうがらし
名前の通り、栃木県の日光周辺が主な産地です。
上の5品種が空に向かって実をつけるのに対して、
「日光とうがらし」は一般的な青唐辛子のように
ぶら下がるように実をつけ、
その果実は10~15㎝にもなる長く大きな品種です。
辛味があまりないため、鷹の爪の代用にはなりません。
 
 
日本の「唐辛子」の種類 ②「青唐辛子」
青唐辛子と呼ばれるものには沢山の品種があり、
「辛い品種」と「辛くない品種(甘唐辛子・唐辛子甘味種)」があります。
 
「甘唐辛子」はトウガラシの変種、あるいは栽培種の中の、
辛味を持たない品種群の総称で、
「南蛮辛子」とか「南蛮」と呼ばれたりもします。
ピーマンやパプリカなども同じ種と捉えられています。
「甘唐辛子」の代表的な物に「ししとう(獅子唐)」があります。
また京都の伝統野菜の「伏見甘とうがらし」や「万願寺とうがらし」、
「山科とうがらし」なども甘唐辛子の仲間です。
 
獅子唐(ししとう)
獅子唐は凸凹している表面が、
獅子の顔のように見えることから名付けられました。
高知県で多く栽培されていて、ピーマンのようなほろ苦さがあります。
 
伏見甘とうがらし[伏見甘(ふしみあま)
江戸時代から京都の伏見地区で栽培されてきた甘唐辛子の一種で、
京の伝統野菜のひとつとして扱われています。
 
山科とうがらし
「獅子唐」と同じような形をしていますが、先端が尖った形が特徴です。
果肉はあまり厚みが無く、加熱調理すると柔らかくペシャンコになります。
古くから京都市山科地区で栽培されてきたとされる甘唐辛子で、
京都府が認定している「京の伝統野菜」ですが、
「ブランド京野菜」には含まれていません。
 
ヒモトウガラシ
古くから奈良県内で主に自家消費用として作られてきた在来種で、
「伏見甘とうがらし」と「獅子唐」との交雑種を
選抜されてきたものとされており、
「伏見甘とうがらし」よりも細く、太さは5~6㎜程しかなく
「ひもとうがらし」とが、「水引とうがらし」と呼ばれています。
平成17(2005)年、奈良の伝統野菜として「大和野菜」に認定されています。

 
日本の「唐辛子」の種類 ③「黄唐辛子」
長さ7㎝程で形は典型的な唐辛子型です。
果皮色は未熟なうちは”緑”ですが、
熟すと全体に明るい黄色になるのが特徴です。
黄色でかわいらしいことから観賞用にされることもあります。
見た目はかわいらしいのですが、
かなりの激辛で、赤唐辛子よりも辛味が強いのが特徴です。
福岡県で栽培されています。
 
 
日本の「唐辛子」の種類 ④「在来種」
万願寺とうがらし(京都府)
京野菜のひとつとして知られている青唐辛子で、
京都府で栽培されています。
肉厚で甘味のある実が特徴です。
 
杉谷とうがらし(滋賀県)
先が曲がっている特徴的な形の青唐辛子で、
滋賀県甲賀市の伝統野菜です。
苦味やクセがなく、食べやすい品種です。
 
三宝甘長とうがらし(鳥取県)
鳥取県で栽培されている大型の青唐辛子です。
やわらかくて甘い実が特徴で、苦味や辛味はありません。
 
ひもとうがらし(鳥取県)
産地は奈良県で、大和の伝統野菜にも認定されています。
ひものように細長い形で、甘味があり皮が薄いのが特徴です。
 
香川本鷹(香川県)
香川県で栽培されている赤唐辛子です。
強い辛味と香りが特徴で、
豊臣秀吉からの拝領品という言い伝えがあるそうです。
 
清水森ナンバ(青森県)
青森県弘前市が産地で
実は大型、独特の風味とほどよい辛さが特徴です。
赤ナンバと青ナンバがあります。
 
剣崎なんば(石川県)
赤くて細長い形が特徴的な赤唐辛子です。
激辛唐辛子の一種といわれるほどの辛さですが、
ほのかな甘味も感じられます。
 
山古志かぐらなんばん(新潟県)
新潟県で栽培されている、
ミニチュア版のかぼちゃのようなコロンとした形が特徴の
青唐辛子です。
パプリカのように肉厚で、辛さは爽やかです。
 
ぼたんこしょう(長野県)
産地は長野県で、ピーマンのような見た目が特徴です。
ピーマンのような風味と唐辛子ならではの辛さを併せ持っています。
 
あじめコショウ(岐阜県)
岐阜県が主な産地で、コショウという名前が付いていますが、
赤唐辛子の一種です。
一般的な唐辛子よりも辛さがあります。
 
 
世界の唐辛子の種類
プリッキーヌ
タイのチリペッパー。赤や青のものがあります。
最長2~3㎝と小さいが、アジアで最も辛いと言われています。
 
プリックチーファ
タイのチリペッパー。
長さは7~8㎝と大型だが、辛味は強くありません。
 
ブードジョロキア
インドやバングラデシュで栽培されている、
超激辛唐辛子です。
世界一辛いとギネスブックにも登録されています。
 
ハラペーニョ
メキシコで栽培されている青唐辛子で、
表面がツルっとした細長い形をしています。
緑色のタバスコの原料にも使われており、
辛さは鷹の爪よりも穏やかです。
 
ハバネロ
小ぶりサイズで赤みを帯びた
鮮やかなオレンジ色がキュートなハバネロは、
見た目に反して激辛です。
強い辛味とともに爽やかな柑橘系の香りも併せ持ちます。
「ブードジョロキア」の登場前は
ギネスブックに登録されていました。
 
カシミリ・チリ
辛味が少ないチリ。
香りが良いので、
インドカレーで赤色を出したい場合に多用されます。