からだに優しいもの

とにかく、優しいものです。

ウメ(梅)

日本のハーブ

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梅とは

「梅」とは、バラ科サクラ属の落葉高木で、
リンゴやナシ、アンズなどと同じ系列の
果樹です。
古くから日本人に愛されている「梅」ですが、
3世紀の終わり頃に「漢方薬」として
古代Chinaから伝わったという説が有力です。
 
奈良時代には、柿や桃、杏子などと同様に、
「生菓子」に加工して食べていたと
言われています。
時代を経るに従って、
「梅」の効用が知られるようになり、
梅の塩漬けが保存食、食薬品として
用いられてきました。
 

梅の歴史

ウメが重宝されたのは、
その花の美しさだけではありません。
「梅はその日の難逃れ」「梅は三毒を絶つ」
といった言い伝えにあるように、
「梅」は、古くから、
健康を守る効能があるとして
日本人に親しまれてきました。
 
平安時代になると、梅を塩漬けした
梅干し「白干し梅」が作られ始め、
村上天皇が病に伏せた際、
「梅干し」を食べたことにより病を治した
という伝承が残っています。
 
戦国時代には、食中毒の予防、傷の消毒、
更には喉の渇きを抑える目的で
梅干しを加工した食糧袋に
「梅干丸」を常に携帯したそうです。
 

江戸時代、梅干を食べる習慣が広まる

江戸時代に入ると、梅と赤紫蘇を一緒に漬ける
「赤梅干し」が登場しました。
赤紫蘇を加えることで風味が良くなる上、
殺菌効果が向上すると考えられたことから、
幕府は「梅」を植えることを奨励し、
「梅干し」を食べる習慣が広まりました。
 
江戸中期には、冬が近づくと
梅干し売りが街を呼び歩く姿が
冬を告げる風物詩となっていたようです。
 
他にも梅を砂糖漬けにした「甘露梅」など、
多くの梅の漬け方がこの時代に生まれました。
更に江戸末期には、
現在の「梅肉エキス」の原型が考案されるなど「梅」が当時から人々の暮らしに欠かせない
存在になっていきました。
 

梅の特徴的「栄養成分」

「梅」は、ミネラルを豊富に含んだ
強アルカリ食品です。
 
「本草学」においては、梅の花・実・葉・
枝・根全てに効用があると述べられています。
 
 
有機酸類
「梅」の酸っぱい味は、強い殺菌・抗菌作用を持つ「有機酸」によるものです。
一番は「クエン酸」であり、次いでリンゴ酸、
シュウ酸が多く、少量の酒石酸、乳酸、酢酸、コハク酸、ピクリン酸、カテキン酸も含んで
います。
 
まだ熟していない「青梅」は「リンゴ酸」が
多いのですが、梅の実が熟していくに従って
「クエン酸」が大部分を占めるようになります。クエン酸には疲労抑制効果があると言われる他カルシウムや鉄などのミネラルの吸収を助けることが知られています。
 
ビタミンE
「ビタミンE」は脂溶性ビタミンのひとつで、
高い抗酸化力を持つことが知られています。
血管や肌・細胞などの老化を防止し、
血行を促進するなど、
生活習慣病の予防に効果があり、
「若返りのビタミン」とも呼ばれています。
 
鉄、カルシウム、カリウムなどの必須ミネラル
体の成長や生命活動を維持する上で
どうしても必要で、通常の食事からでは
不足しがちなミネラルを「必須ミネラル」と
言います。
梅干しには、例えば、リンゴに比べて
カルシウムは4倍、鉄は6倍、カリウムは2倍、
マグネシウムや亜鉛も梅の方が多いのです。
 
ポリフェノール
梅干しには「梅リグナン」という抗酸化作用のあるポリフェノールの一種が多く含まれて
います。
「梅リグナン」には、抗酸化、降血圧、
消化管機能改善、抗炎症、脂質代謝改善、
抗疲労、抗ウイルス、食後血糖値低下、
防カビ、骨粗鬆症予防などの効果が報告されています。
 
ムメフラール
(ヒドロキシメチルフルフラールクエン酸エステル)
平成11(1999)年、農林水産省食品総合研究所が
梅果汁を加熱濃縮した「梅肉エキス」した
注目の成分です。
 
「ムメフラール」には、血流を改善し、
動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果が
期待出来、梅エキスに豊富に含まれるクエン酸と一緒に働くことで相乗効果も期待されます。
 
植物性乳酸菌
「植物性乳酸菌」には、腸内環境を整えることによる便秘予防、肥満や免疫力アップ、抗アレルギー効果などが期待出来ます。
また、「カテキン酸」という悪玉菌を抑制する働きのあるアミノ酸の相乗効果によって
より高い整腸効果が期待出来ます。
 
アミグダリン
「アミグダリン」とは、梅の未熟な果肉(青梅)や種子に含まれるシアン配糖体です。
青梅の時期に多く含まれているため、生の青梅を極めて大量に食べてしまうと、体内で分解されてできるシアン化水素によって、中毒を起こす恐れがあります。
 
特に青梅の「仁」(種の中身)に多く含まれ、
「梅食うとも核(さね)食うな、
      中に天神寝てござる」
という諺が伝わっています。
 
ただ「アミグダリン」は、成熟した果実や、
塩・砂糖・お酒に漬け込んだり、加熱することで
そのほとんどが消失しますので、
熟した梅の実や梅の加工食品を食べる分には、
全く問題はありません。
 

梅の健康効果

 
殺菌除菌効果
梅干しの「クエン酸」には、
「殺菌抗菌効果」があると考えられています。
更に体内に吸収されると、食中毒の原因となる菌を抑制する効果も期待されています。
 
胃腸の機能を高める効果
梅に含まれる「有機酸」が、
胃や腸に棲む悪玉菌を殺菌する働きがあるため
善玉菌が優勢の状態を作り出し、
胃腸の機能を高めると言われいます。
 
食欲増進効果
梅は様々な「有機酸」を含んでいることから、
唾液の分泌を促し、胃液を始めとする
消化酵素の働きを活発にして
食欲を増進させる働きがあります。
そのため梅干しを使った料理は、
夏バテなどで食欲が落ちてしまった時に
特におススメです。
 
肝機能を高める効果
梅に含まれる「ピクリン酸」には、
肝機能を高める効果があります。
また、この働きにより二日酔いの防止にも
効果的であると言われています。
 
疲労回復効果
梅に含まれる「クエン酸」や「リンゴ」酸は、
体内で糖質などの代謝を促して効率的に
エネルギーへ変換する役目も担っています。
エネルギー代謝が向上すると、疲労回復のみならず、肩こりや腰痛といった症状の緩和効果も期待できるでしょう。
 
血流改善効果
「ムメフラール」は、
血小板の凝集を抑制する作用と
赤血球の変形能を上げる作用を
持っていることから、
血流改善をしながら血栓が出来ることを防ぎ、動脈硬化の予防に役立ちます。
血流が改善されると
老廃物を排出しやすくなるため、
疲労回復や老化防止にも繋がるでしょう。
 
 
DATA
  • 学名:Prunus mume
  • 別名:ムメ
  • 科名:バラ科
  • 使用部位
    果肉、未成熟の実(薫製にしたもの)
  • 生 薬 名:烏梅(うばい)
<主な成分>
  コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、
  アミグダリン
 
<主な作用>
  抗菌(真菌)、消化液分泌促進
 
<注   意>
  未成熟な果肉や種子には、
  毒性があるので、
  そのまま食用にしない