からだに優しいもの

とにかく、優しいものです。

ウメ(梅)

日本のハーブ

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梅とは

バラ科サクラ属の落葉低木で、
アンズ、モモ、アーモンドやプルーンと同属です。
杏と近縁種であり、交雑しやすいことを利用して、
現在のウメは、アンズとの交配によって生まれたものもあります。
 

  

 
花の色は白、淡紅、紅色と様々です。
花弁は5枚が一般的ですが、八重咲のものもあります。
 

梅の来歴

 
ウメは、九州に野生の自生木があることから
日本原産とする説もありますが、
China大陸江南が原産と考えられ、
2000年前に書かれたChina最古の薬物学書『神農本草経』には、
既に梅の効用が説かれていました。
 
梅が日本に伝来したのは、3世紀の終わり頃と言われています。
百済の帰化人・王仁がもたらしたとする説や、
欽明天皇の御代(539~571年)に、
呉の高僧がもたらしたという説があります。
 
日本の文献に「梅」という文字が最初に現れるのは、
日本最初の漢詩集と言われる
『懐風藻』(751年)に収められている、
葛野王(かどののおおきみ)の「春日翫鶯梅」と題する五言詩です。
日本最古の歌集『万葉集』にも、
ウメを題材とした和歌が100首前後もあります。
 
早春の象徴的な花の香りと夏の到来を告げる青い実は、
古来から日本人の生活とともにあった植物で、
奈良時代以前は花と言えば「ウメ」を指すことが多く、
「花=桜」となったのは、平安中期以降になります。
 

七十二候「梅子黄」

 
二十四節気「芒種」の末候、「梅子黄」(うめのみきばむ)と言います。
青々と大きく実った梅の実が、黄色く色付き始める頃という意味です。
「梅雨」は、“梅の実が熟す頃の雨” ということから付きました。
梅雨時である陰暦5月を「梅の色月」と美しく言い表した言葉も残っています。
 

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梅の効用

 
ウメが重宝されたのは、その花の美しさだけではありません。
「梅はその日の難逃れ」「梅は三毒を絶つ」といった言い伝えにあるように、
梅は古くから健康を守る効能があるとして日本人に親しまれてきました。
 
平安時代には天皇が梅干しで病を治したという伝承が残っています。
また、戦国時代には食中毒の予防、傷の消毒、更に喉の渇きを抑える目的で
足軽達の装備品にされていたと言います。
 
江戸時代には、庶民の食卓にも「梅干し」が上るようになり、
江戸中期には、町中でも加工品としての「梅干し」が売られるようになり、
梅干し売りが声を上げながら町を歩く姿は、
冬の始まりを告げる風物詩となっていたようです。
また、梅干しの「紫蘇漬け」が普及し始めたのもこの頃で、
他にも梅を砂糖漬けにした「甘露梅」など、
多くの梅の漬け方がこの時代に生まれました。
更に、江戸末期には現在の「梅肉エキス」の原型が考案され、
梅が当時から人々の暮らしに欠かせない存在であったことが分かります。
 
「本草学」においては、
梅の花・実・葉・枝・根全てに効用があると述べられています。
 
塩辛くて酸っぱい梅干しは、食欲を増進させ、塩分を効率良く補給出来ると、
現在でも重宝されています。
胃の調子が悪い時には、
一粒の梅干しが口の中をサッパリさせ、不快感を和らげてくれます。
 
 アンチエイジング、美容効果も!
  梅干しに含まれる植物ポリフェノールの一種「梅リグナン」には
  強い抗酸化力がある。
  老化現象は、身体が錆びることと、よく例えられる。
  錆(酸化)の原因となる「活性酸素」は、シミやしわの原因になる他、
  がんや生活習慣病の引き金になるとも言われている。
  「梅リグナン」は、この活性酸素の働きを抑えてくれるのだ。
 
 疲れたときにも一粒の梅干し!
  身体が疲れてきた時に、酸っぱい物を食べたくなることはないか?
  それは、体が「クエン酸」を欲している証拠。
  「クエン酸」は、体内でエネルギー源を燃やすだけでなく、
  疲労の原因となる乳酸を体外に排出してくれるのだ。
  肩こりに悩む人や、筋力作りをしている人にもオススメ。
 
 インフルエンザ予防にも!?
  和歌山県立医科大学の研究により、
  世界で初めて発見された梅干し由来のポリフェノール
  「エポキシリオニレシノール」。
  この成分には、インフルエンザウイルスの増殖を抑制してくれる効果が
  あるそう。
  「梅干しを食べると風邪をひかない」という説は、これが由来かも?
 
 胃潰瘍や胃がん予防にも効果あり
  日本人の半数以上が感染していると言われる
  「ヘリコバクターピロリ菌」。
  これは胃炎や胃潰瘍、更には胃がんにも影響を及ぼすといわれる菌だ。
  この働きを抑制する「シリンガレシノール」が梅干しに含まれている。
  アルコール性の胃潰瘍の改善に効果があることも認められている。

「紀州梅効能研究会」

 
  • 学   名:Prunus mume
  • 別   名:ムメ
  • 科   名:バラ科
  • 使 用 部 位:果肉、未成熟の実(薫製にしたもの)
  • 香り・風味:強い酸味がある
  • 生 薬 名:烏梅(うばい)
  • 主 な 成 分:コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、
          アミグダリン
  • 主 な 作 用:抗菌(真菌)、消化液分泌促進
  • 注   意:未成熟な果肉や種子には
          毒性があるので、そのまま食用にしない
 
 
 

新元号は「令和」

 
新元号は「令和」(れいわ)は、梅が大きく関係しています。
「令和」の由来となったのは『万葉集』にある
歌人・大伴旅人(おおとものたびと)による歌の序文
 
 初春の令月にして 気淑く風和ぎ
 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫す 

との文言から引用したものです。

 
 
歌の意味は、
初春の素晴らしい月にして、
風も春の陽気のように穏やかに、
梅は鏡の前の美女が装う白粉のように開き、
蘭は身を飾った香のように薫っている。
 
咲き誇る梅が告げる春の訪れのような、
明るく期待に満ちた歌から誕生した「令和」には、
一人ひとりの日本人が、
明日への希望を胸に、それぞれの花を見事に咲かせることが出来る。
そういう日本でありたいという願いが込められているのです。