からだに優しいもの

とにかく、優しいものです。

サンショウ(山椒)

日本のハーブ

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古くから日本人に親しまれてきた、
日本を代表するスパイスです。 
ミカン科サンショウ属の落葉低木で日本各地に自生します。
主に実を利用しますが、若葉を摘んで手で叩いて香りを出し、
木の芽として和食の飾りつけに使うのも一般的です。
また山椒の幹は淡黄色で軽く、折れにくいので、
すりこ木として使われてきました。

 
 

「山椒」とは

 
「山にあって香りが高い実がなる」という意味です。
小さな身が沢山なることから
子孫繁栄の象徴としても珍重されてきました。
 
実を煎り、乾燥させ粉末にした、
鰻の蒲焼きに欠かせない香辛料として知られています。
 

 
山椒は古名を「ハジカミ」と言いますが、
その由来は、実が熟して弾ける「はじけみ」から
または実が弾ける様を示す「はじ」と、
はじけた果皮がニラの味と似ているため
ニラの古名「からみ」と合わせた「はじからみ」からなど、
諸説あります。
 

山椒の種類

日本の山椒の品種や産地、それぞれの特徴について解説します。
 
朝倉山椒
朝倉山椒は、兵庫県養父市八鹿町朝倉を発祥とする山椒です。
実は柔らかく大粒で柑橘系のフルーティーな香りがあり、
辛味が優しいことが特徴となっています。
山椒は通常、雌株と雄株がありますが、
朝倉山椒は雌雄同種なので一株あれば実がつきます。
また、枝にトゲがないことも特徴です。
 
ぶどう山椒
ぶどう山椒とは、和歌山県有田川町発祥の山椒で、
朝倉山椒から派生したとされる種です。
実のなり方がぶどうの房のようであることからこの名前がつきました。
粒が大きくて果皮が厚く、辛味が強く、
爽やかな中に甘さを感じる香りが特徴です。
 
有馬山椒

有馬山椒とは、
兵庫県神戸市北区有馬地域に自生していたとされる山椒です。
有馬地域は料理に山椒を活用する文化が盛んでした。
日本料理の「有馬煮」や「有馬焼」は、
山椒を使った料理を指しています。
有馬山椒は柑橘系の香りが強く、辛味も強いことが特徴です。
 
 

山椒の歴史

山椒は『魏志倭人伝』や『古事記』に
古名の「ハジカミ」の名で記録されており、
最も古くからある香辛野菜であると言われています。
 
平安時代からは薬用として用いられており、
のぼせや咳、下痢などに効果があるとされていました。
 
室町時代に書かれた『大草家料理書』には、
鰻の蒲焼きに山椒の粉を振り掛けることが紹介されており、
既に今日のような使われ方がされていたと考えられています。
 
山椒は元々北海道から九州までの山野に自生していましたが、
明治時代からは栽培が始められました。
 
 

山椒の部位別利用法

山椒は、果実、葉など、様々な部位が料理に利用されています。
 
木の芽

春頃「木の芽」と呼ばれる、新芽、若葉が出てきます。
この「木の芽」は見た目もキレイで、
茶碗蒸し、和えもの、お吸い物、刺身のつまなどに添えると、
山椒の爽やかな香りを味わうことが出来ます。
 
青山椒

「実山椒」・「青山椒」は
夏前に収穫した、熟す前の青い実のことを言います。
この時期は、
果実の中の種も柔らかいので食べることが出来ます。
塩漬けや醤油漬けにされたものが
煮物などのトッピングなどに利用されています。
これを”ちりめんじゃこ”と一緒に煮込むと、
「ちりめん山椒」になります。
 
実山椒

秋になり、熟して硬くなった果実から弾けた
黒くなった種子を摘み採り、
乾燥させて瓶に入れ、冷暗所で保管しておくと、
色々な料理に使うことが出来ます。
使用時にすり鉢などで潰して使えば、
その都度、爽やかな香りの山椒を楽しむことが出来ます。
 
粉山椒

乾燥した果皮を粉末にした「粉山椒」は、
鰻の蒲焼の薬味として知られていますが、
こってりした素材をさっぱりした口当たりにしてくれます。
味噌や醤油など日本の調味料との相性がとてもいいので、
味噌汁、吸い物、魚の照り焼きなどの風味づけにも使われています。
七味唐辛子の原料としてもに欠かせません。
 
 

山椒の健康効果

 
山椒には、サンショオールやシトロネラール、ジテルペン、
フェランドレン、ゲラニオールなどの精油成分が含まれています。
 
サンショオールには、脳を刺激し、
胃腸の働きを活発にする効果があると言われています。
また、新陳代謝を活発にしたり、
発汗作用の働きがあることが知られており、
冷え性の改善に効果があるとも言われています。
 
更に鎮痛作用があり、
打撲や打ち身、捻挫などの解消に効果があると
言われています。
 
山椒はカリウムを多く含むため、
血圧を正常に保ち、老廃物の排出に効果があります。
山椒はビタミンAも豊富です。
ビタミンAは疲れ目や免疫力アップに効果があります。
 
伝統的に、鎮痛、駆虫にも用いられ、
ハチに刺された時に葉を揉んでつけると、
痛みが和らぐと言われています。
 
データ
  • 学   名:Zanthoxylum piperitum
  • 別   名:サンショウペッパー、ハジカミ
  • 科   名:ミカン科
  • 原 産 地:日本
  • 利 用 部 位:葉、実
  • 香り・風味:柑橘系意を思わせる爽やかな香り。
          ピリリとした辛味と痺れ
  • 主 な 成 分:α-サンショオール、γ-サンショオール、
          サンショウアミド、クエルシトリン、
          リモネン、ゲラニオール、β-フェランドレン、
          カリウム、ビタミンA
  • 主 な 作 用:健胃、利尿、駆虫、殺虫、抗菌、抗真菌、
          鎮痛、鎮痙、局所麻酔、鎮咳
 
 

山椒を食べる上での注意点とは

山椒を食べ過ぎると、
目の充血や下痢、嘔吐などの症状が起きることがあります。
大量摂取による意識障害や酩酊状態になるなどの
副作用が出た例も多くあります。
何を食べる時も同じですが、
適度な量を美味しく楽しく食べ、
くれぐれも食べ過ぎには注意して下さい。
 
 

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