日本のハーブ
料理の香りづけに欠かせないニンニクは、
古くから日本でも薬用植物として利用されてきました。
香辛野菜として食べられるようになったのは戦後のことです。
にんにくの歴史
「ニンニク」の原産地は西アジア地中海沿岸と推定されていますが、
既に紀元前4500年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていました。
そして4世紀頃に日本に伝来したと考えられます。
『古事記』(712年)には、
「倭建命(ヤマトタケルノミコト)が東国を平定し帰途にあり、
足柄山の坂本で食事をしている時に、
坂の神が白鹿に化けて来たので、
命は食べかけの蒜で白鹿を打つと、
目に当たり、打ち殺した。」と
記載されています。
そして、『日本書紀』(720年)にも、
日本武尊と蒜について同じような記述があります。
なお、一般市民に広く食べられる様になったのは
明治以降になってからのようです。
にんにくの語源
日本ではその昔、根茎を食用とするユリ科の植物を総称して
「蒜」(ひる)と呼んでいました。
にんにくは「ノビル(野蒜)」と区別する為に、
「オオヒル(大蒜)」と称していましたが、
室町時代初期の頃に「大蒜」を「にんにく」と呼ぶようになりました。
にんにく語源は諸説あります。
一つは、その強いニオイからきたという説で、
「ニホヒニクム(匂悪・匂憎)」とか「カニホヒニク(香匂憎)」が縮まって
「ニンニク」になったとするものです。
もうひとつは、困難を耐え忍ぶという意味の
仏教用語「忍辱」から来たとするもので、
こちらが通説になっているようです。
健康維持のために臭気を堪え忍んで食べると言う意味です。
「疲れた時にはニンニク」というイメージ通り、
ニンニクは強壮作用がある食材です。
煩悩を刺激するという理由で、禅僧の僧侶は、
ニンニクや同属のネギ、ニラなどを食べることを禁じていました。
国産にんにくの主な種類
国産では青森が全国の約67%を出荷しています。
青森のにんにくは非常に質が高く、味、香り共に優れています。
中でも青森県三戸郡田子町は生産高日本一です。
青森の次は、香川県が多く、
残りを宮崎、岩手、大分その他で占めています。
福地ホワイト六片
青森県福地村(現:南部町福地地区)の
雪のような美しい白さから「福地ホワイト」と名付けられました。
日本を代表する最高級品種のブランドにんにくです。
1片が大きく、色は雪のように白く、
表面に張りがあり実が引き締まっているのが特徴です。
1玉に平均4~6片と少ないのですが、一粒一粒が大きいです。
粒が大きいだけではなく、味も濃厚で甘味があり、
栄養がぎっしり詰まっています。
「福地ホワイト六片」から更に選抜育成された
「ニューホワイト六片」という品種もあります。
一片種にんにく(プチにんにく)
「プチにんにく」は、中身が分球せずに1塊になっている
直径は3cm程度のミニサイズのにんにくです。
一般的なにんにくは、複数の鱗片に分かれていますが、
プチにんにくは1粒の塊になっているのが特徴です。
特有のニオイや辛味はやや弱めです。
調理の時には外皮を剥くだけでよいので、
少し多めに使いたい時でも手間が掛りません。。
最上赤にんにく
山形県最上地方(真室川町、最上町、戸沢村)の伝統野菜の一つで、
外皮が赤紫色のにんにくで、一般的なにんにくより大粒です。
貯蔵性に優れていて、萌芽しにくいです。
香りが強く、生で食べると辛味が強いのですが、
火を通すとホクホクとした食感になり、甘味が増すというのが特徴です。
ジャンボニンニク
「ジャンボニンニク」はにんにくと同じネギ科ネギ属の植物の鱗茎で、
その姿かたちから「にんにく」と呼ばれてはいますが、
一般的なニンニクとは植物の分類上では別種とされ、
リーキ(ポワロー、ポロネギ)の近縁種とされています。
見た目はまさにニンニクをそのまま何倍にも大きくした感じで、
普通のにんにくの8倍程の大きさがあり、ニオイが少ないのが特徴です。
行者にんにく
北海道で採れるヒガンバナ科ネギ属の山菜として有名です。
にんにくの芽
「にんにくの芽」は加工品種に分類され、
球根部を食べるにんにくの養分を使わないように、
花が咲いてから刈り取られる花茎部分のことです。
食品としては緑黄色野菜に分類され、
にんにくよりニオイが穏やかなので餃子の具材などに使われます。
葉にんにく
「葉にんにく」は、にんにくの若葉のことで、ネギに似た形状です。
「にんにくの芽」は花が咲いてから採取しますが、
「葉にんにく」はそれ以前に収穫します。
にんにくの風味は残っているものの、
ニオイも辛味も抑えられており、甘味を含んだ爽やかな味わいです。