からだに優しいもの

とにかく、優しいものです。

アンズ(杏子)

日本のハーブ

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アンズは甘酸っぱくて、
すっきりとした初夏の味を楽しめるフルーツです。
アンズはバラ科の樹木で、
梅や桃、スモモなどと遺伝的に近縁に当たります。
 
原産地は
ネパールから、Chinaの山東、山西、河北地方の山岳地帯と
言われています。
古代Chinaでは「唐桃」(からもも)と呼ばれ、
紀元前3000年頃には既に栽培されており、
花は観賞用、仁は薬用、果肉は生食や加工用に利用され、
五果のひとつとして重用されてきました。
 
日本には平安時代に、東アジア系のものがChinaより渡来しました。
当時は「唐桃」(からもも)と呼ばれていたようです。
その後「杏子」の読みから「あんず」の名が一般化されました。
品種的にも日本の気候に合うように次第に変化して、
「ニホンアンズ」という独特の品種群を形成するようになりました。
 
 
 
今でこそアンズは食用ですが、
始めは「薬」として利用されてきました。
アンズの種子の中身を取り出した
「杏仁」(あんにん、又はきょうにん)には、
「アミノダクリン」という成分が含まれており、
その成分が咳や痰を鎮める漢方薬として重用されました。
 
また、この杏仁をすり潰して絞った白い汁を
寒天で固めたものが「杏仁豆腐」で、
元々は薬膳料理の一つでした。
 
なお、果実を食べるために改良されたアンズは
種子が小さいため、「杏仁」を取り出すのには向いていません。
 
「アミノダクリン」は、
アンズやウメ、モモ、ビワなどのバラ科に属する果実の、
主に種子の中にある核の部分に含まれる、毒性の成分です。
アミノダクリンは果実が成熟すると果肉からは消失します。
また、梅干しや梅酒のように加工することで分解が進み、
問題なく食べられるようになります。 
 

 
実を食べるようになったのは、
江戸時代に「杏干」として食されたことに始まります。
長野県や青森県など、比較的寒い地方での栽培が盛んです。
特に有名なのは、長野県更埴市(こうしょくし、現:千曲市)で、
江戸時代に松代藩が勧農政策を進め、
今日まで日本一の産地として名を馳せてきました。
 
「アンズ」は黄色い果肉からも分かるように
「β-カロテン」が豊富で、体内で抗酸化作用を発揮します。
また、ビタミンB2、ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸等も含まれているので、
疲労回復・食欲増進・風邪の予防にも効果があります。
 
また、干したアンズは生よりも栄養価が高い他、
食物繊維が豊富で、
便秘の予防や貧血の予防にも効果があります。
但し、カロリーも高いので食べ過ぎには注意しましょう。
 

 
  • 学   名:Prunus armeniaca
  • 別   名:アプリコット、唐桃(からもも)
  • 原 産 地:China北部
  • 使 用 部 分:果実、種子
  • 香り・風味:甘酸っぱい
  • 科   名:バラ科
  • 生 薬 名:杏仁(きょうにん)
  • 主 な 成 分:アミグダリン(青酸配糖体)
  • 主 な 作 用:鎮咳、去痰、滋養強壮
  • 注   意:種子の仁に含まれるアミグダリンに
          毒性があるため、生食は禁止。
          但し加工すると消失する。