Elderflower(ハーブ事典)
マスカット風味の風邪の特効薬
「エルダーフラワー」は、
ヨーロッパ各地で5月頃から6月にかけて公園や野原で咲く、
野の花の一種です。
「エルダー」の名前は、
アングロサクソン語の「エルド(炎)」に由来し、
火を起こすためにその枝が利用されていたことによります。
また、枝や幹を煎じて水飴状になったものを、
骨折治療のための湿布罪に用いたことから、
「接骨木」(にわとこ)とも呼ばれています。
古くから神聖で厄除け、魔女除けになる木と言われていました。
病気や悪霊を寄せ付けない厄除けやお守りとして、
枝や幹などを扉や窓に吊るした他、
花を布袋に入れて身に付けていました。
薬効もよく知られていて、
紀元前5世紀に、
医学の祖・ヒポクラテスが使用した記述が残されてもいます。
かつてのイギリスでは、
虫除けのためにトイレの側に植えられていたなど、
「万能の薬箱」と呼ばれ、民間薬としても親しまれてきました。
- 学 名:Sambucus nigra
- 別 名:セイヨウニワトコ(西洋庭常)、
エルダ - 科 名:レンプクソウ科
- 使 用 部 位:花
- 香り・風味:マスカットのような甘い香りがするが
味には少し刺激がある - 原 産 地:ヨーロッパ、南西アジア、北アフリカ
- 用 途:料理、お茶、美容健康、クラフト、染料
- 主 な 作 用:クロロゲン酸、ルチン、クエルシトリン、
粘液質、サンブニグリン(ごく少量) - 主 な 作 用:発汗、利尿、抗アレルギー、
鎮静、鎮痙、安眠 - 注 意:未熟果は青酸配糖体を含むので口に入れない
「インフルエンザの特効薬」とも言われ、
欧米では古くから家庭薬として重宝されています。
発汗、利尿作用があり、
風邪の引き始めにハーブティーとして飲むことが多いようです。
また、春に咲いた花を砂糖水で煮て、
「コーディアル」として保存するのが一般的です。
お湯や水、炭酸水で割ると、優しい甘味のハーブドリンクが楽しめます。
料理
● エルダーベリー
夏に濃い青紫色の実「エルダーベリー」は、
ヨーロッパでは古くからワインやシロップ、ジャムなどの食用に利用される他、
染料としても用いられてきました。
ビタミンA・B・Cなど栄養素が豊富で、風邪の予防やインフルエンザに加えて、
アンチエイジングの効果も期待されているそうです。
飲料
● エルダーフラワー・シャンパン
砂糖水とレモン汁に花を漬け込んだ、イギリスの夏の飲み物です。
● エルダーフラワー・ジュース
花を砂糖などとに詰めたシロップは水や炭酸で割ったもの。
● 果実酒
果実を焼酎に付けたもの。
美容・健康
● 化粧水
ハーブティーの残りは化粧水としても利用出来ます。
肌を引き締める効果や、シミやそばかすの改善も期待出来ます。
● ハーバルバス
喉が痛む時に、エルダーフラワーとペパーミントを綿の布袋に入れて
湯船の中で揉みほぐしながら浸かって下さい。
● 風邪対策のうがい用「チンキ」
1日3回程度、時間を空けてうがいをするようにしてみて下さい。
- 作り方 -
1.密閉出来るガラス容器に、ハーブを容器1/4位まで入れる。
蒸留酒(ウォッカやホワイトリカーなど)を容器8分目位まで注ぎ、
かき混ぜる。
2.蓋をしっかり閉めて、冷暗所に2週間~1カ月置く。
その後、ハーブをキッチンペーパー、ガーゼ、茶漉しなどで濾す。
3.ティースプーン1杯分のチンキをコップ1杯の水か湯、
ハーブティーなどに入れ、よく混ぜてからうがいをする。
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