からだに優しいもの

とにかく、優しいものです。

「ケモタイプ(Chemotype)」について

精油(エッセンシャルオイル)

f:id:linderabella:20200903172325j:plain

f:id:linderabella:20200717182018j:plain

 
 
 
植物は、国や地域により
植物の呼び方が違うことがありますが、
そのような時は、世界共通の
「学名」をチェックすることで
植物を見分けることが出来ます。
「学名」は、「精油」を選ぶ上でも
重要な役割を果たします。
 
 
植物は、どんな環境の土地であっても、
育っていけるように努力します。
雨が少ない気候では
水分を蓄えられるように変化するとか、
虫からの被害が多い土地では
虫が寄り付かない成分を作り出すなどと
いった具合にです。
 
そうすると、同じ品種の植物であっても、
育った環境の違いによって、
成分が大きく異なり、全く別の植物のように
なってしまうことがあります。
 
そのような植物から出来た精油を
「ケモタイプ」と呼んでいます。
英語では「Chemotypes」、
日本語では「化学種」とも呼ばれます。
 

「ケモタイプ」(Chemotype)

「学名」は同じですが、香・効能が違います。
その場合、「学名」の後に「成分名」を記し、タイプを区別します。
 

ケモタイプの精油の種類

ケモタイプがある精油は、多くはありません。
アロマテラピーに活用される精油の中で
ケモタイプがある精油は、
  • ローズマリー
  • タイム
  • バジル
の3つが代表的でしょう。
 

ローズマリー

ローズマリー[学名:Rosmarinus Officinalis]の
ケモタイプには、
  1. ローズマリー・シネオール
  2. ローズマリー・カンファー
  3. ローズマリー・ベルベノン
の3種類があります。
 
ローズマリー・シネオール   
[学名:Rosmarinus officinalis ct.Cineole]
ローズマリーの代表的な種類です。
他のローズマリーに比べて、
「1,8-シネオール」という成分が
多く含まれています。
ローズマリーの基本的な効能である「血行促進」
に加え、呼吸器系の不調に特に効果的です。
また、カタル症状や消化器系の不調にも
有効です。
 
ローズマリー・カンファー   
[学名:Rosmarinus officinalis ct.Camphora]
他のローズマリーに比べて、
「カンファー」という成分が多く含まれています。
その分、シャープでツンとした香りが特徴です。
ローズマリーの基本的な効能である「血行促進」に加えて、肩こり、筋肉痛、リウマチなど、
筋肉の疲労や刺激活性に特に効果的です。
 
ローズマリー・ベルベノン   
[学名:Rosmarinus officinalis ct.Verbenone]
他のローズマリーに比べて、
「ベルベノン」という成分が多く含まれています。
森の中にいるような清涼感のある香りです。ローズマリーの基本的な効能である「血行促進」に加え、シワや傷へのアプローチ、抜け毛対策など、スキンケアやヘアケアに特に効果的です。
 

タイム

タイムのケモタイプには、
  1. タイム・リナロール
  2. タイム・ゲラニオール
  3. タイム・ツヤノール
  4. タイム・チモール
  5. タイム・パラシメン
の5種類があります。
 
タイム・リナロール      
[学名:Thymus vulgaris ct.linalool]
他のタイムに比べて、「リナロール」という
成分が多く含まれています。
「リナロール」は甘みのあるフローラルの
ような香りです。
タイムの基本的な効能である「殺菌防腐作用」に加えて、免疫機能の向上、抗不安作用や
ストレスの緩和などに特に効果的です。
タイムの中でも最も作用が穏やかで、
敏感肌にも向いています。
 
タイム・ゲラニオール     
[学名:Thymus vulgaris ct.Geraniol]
他のタイムに比べて、「ゲラニオール」という成分が多く含まれています。
バラのような甘く濃厚な香りです。
タイムの基本的な効能である「殺菌防腐作用」に加え、子宮強壮や鎮静に特に効果的です。
タイムの中でも比較的作用が穏やかで、
スキンケアにも向いています。
 
タイム・ツヤノール      
[学名:Thymus vulgaris ct.Thujanol]
他のタイムに比べて、「ツヤノール」という
成分が多く含まれています。
ミントやユーカリのような爽やかな香りです。
タイムの基本的な効能である「殺菌防腐作用」に加え、強肝作用や循環促進作用など、
肝機能の向上に特に効果的です。
タイムの中でも比較的作用が穏やかで、
肌に使用することも出来ます
 
タイム・チモール        
[学名:Thymus vulgaris ct.Thymol]
他のタイムに比べて、「チモール」という
成分が多く含まれています。
しっかりとしたハーブの香りです。
「チモール」は精油成分の中でも
特に「抗菌性」に優れていると言われており、
タイムの基本的な効能である「殺菌防腐作用」
が強く期待出来ます。
作用が優れている分、肌への刺激が強いので、使用する際は注意が必要です。
 
タイム・パラシメン       
[学名:Thymus vulgaris ct.Paracymene]
他のタイムに比べて、
「パラシメン(パラサイメン)」という成分が
多く含まれています。
シトラスのような爽やかな香りです。
タイムの基本的な効能である「殺菌防腐作用」に
加えて、皮膚からの吸収による鎮痛に特に
効果的です。
肌への刺激が強い成分が含まれていることが
多いので、使用する際は注意が必要です。
 

バジル

バジルのケモタイプには、
  • バジル・リナロール
  • バジル・メチルカビコール
の2種類があります。
 
バジル・リナロール        
[学名:Ocimum basilicum ct.linalool]
他のバジルに比べて、
「リナロール」という成分が多く含まれています。
甘くスパイシーなハーブ調の香りです。
バジルの基本的な効能である「消化促進作用」や「鎮痛作用」「自律神経調整作用」に加え、
神経強壮、疲労回復、免疫向上に特に効果的
です。
 
バジル・トロピカル         
[学名:Ocimum basilicum ct.thyrsiflorum]
他のバジルに比べて、「メチルカビコール」と
いう成分が多く含まれています。
フレッシュで甘くスパイシーな香りがすることから、「バジル・トロピカル」と呼ばれること
もあります。
バジルの基本的な効能である「消化促進作用」や「鎮痛作用」「自律神経調整作用」に加え、抗アレルギーや呼吸器系の不調に特に効果的
です。
 

「ケモタイプ」の精油を選ぶ時に確認したいこと

精油を選ぶ際に、その一つの基準として
「HECT」マークがついているかどうかを
確認してみるのがおススメです。
(CTと表示されていることもあります。)
 
「HECT」とは、
「Huiles Essentielles Chémo Typées」の略で、
「Huiles essentielles」は仏語で精油のことで、
今日のアロマテラピーの世界では、
「ケモタイプ精油」の品質を保証する基準となっています。
 
「HECT」が管理する基準は、
以下のような内容です。
  1. 植物の品種
  2. 植物の抽出部位
  3. 植物の生育段階
  4. 高品質の低圧水蒸気蒸留法か圧搾法で抽出
  5. 単一の植物の蒸留
  6. 100%天然
  7. ロット毎の成分分析により特性成分が明確
  8. 天然物質であり、精油に一切の合成がない(屈折率や比重、旋光度テスト、
    その他のテストで確認)
  9. 100%純粋
    (成分カットなし、不酸化、不脱脂)
  10. 着色や脱色がされていない
  11. 製造場所、蒸留年月日の管理