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ターメリック(ウコン)

Turmeric(スパイス事典)

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黄金色のスパイス

 
「ウコン」は熱帯アジアを原産とするショウガ科の多年草で、
日本では慣用名として「秋ウコン」、
英語では「ターメリック」と呼ばれています。
「秋ウコン」はスパイスとして食品の他、
生薬や黄色の天然色素として用いられてきました。
 
 

ターメリック(ウコン)の歴史

「ターメリック」の名前は、
ラテン語で「素晴らしい大地」を意味する
「テラ・メェリタ」に由来し、
古くから様々な効能や滋養がある薬草として重宝されてきました。
 
原産地のインドでは、紀元前10世紀の
ソロモン王の時代から栽培されていたと考えられており、
約5000年の歴史を有するインドの伝統医療「アーユルヴェーダ」や
料理の他、黄色い染料の原料としても広く用いられ、
冠婚葬祭の際には、ターメリックで染めた黄色い衣服を着用するなど、
神聖なもの、邪悪なものを退ける魔力があるものとして
扱われました。
 
その後、メソポタミアを経由してパレスチナ方面に伝わり、
紀元前8~7世紀には、着色用のスパイスとして、
サフランとともに記録に残されています。
なお、ヴェネチアの商人であり冒険家であったマルコ・ポーロは、
旅先でターメリックを発見した際に、
「色はサフランに似ていて、種類は違うが十分代用出来る」と
書き残しています。
 
日本には、室町時代以前に薬用として広まり、
その後、17世紀半ばに琉球で栽培されるようになりました。
和名の「ウコン」は、
漢名の「鬱金」(鮮やかな黄色)の字音
「ウコン」が音変化したものと言われています。
 

ウコンの種類

「ウコン」と近縁で外見の似ている「キョウオウ」や「ガジュツ」を
それぞれ通称「春ウコン」、「紫ウコン」と呼び、
クルクミン含有量を始め、それぞれに違った特長があります。
  和  名 見分け方 クルクミン
含有量
秋ウコン 鬱 金
(ウコン)
・初秋に白い花をつける
・根茎の断面はオレンジ
・強い苦味
1.1~4.8%
春ウコン 姜 黄
(キョウオウ)
・春に赤みのある花をつける
・根茎の断面は黄色
・ウコンより更に強い苦味
0.3%
紫ウコン 莪 朮
(ガジュツ)
・春に紫がかった花をつける
・根茎の断面は紫がかった白 
・春ウコンと同程度の苦味
0.0%
 
 

スパイスの特徴

香り・風味の特徴
香り・風味
オレンジと生姜が混ざったような
スパイシーな香りと、苦味
 
 オレンジとジンジャーが混ざったような刺激的で爽やかな香りと、
 独特の土臭さを持っています。
 なお、 品種や収穫時期により風味や成分も異なります。
 
健康効果
黄色い色素成分「クルクミン」には、
肝臓の解毒機能を強化する作用や抗酸化作用があり、
胆汁の分泌を促して肝機能障害を予防し、
コレステロール値を下げる効果もあります。
 
抗酸化作用による老化防止やがん予防にも効果が期待されています。
 
インドでは、ターメリックパックは美肌効果や吹き出物緩和など、
様々な肌トラブルを解消してくれるとして、古くから使われています。
 
データ
Data
  • 学   名:Curcuma longa
  • 別   名:秋ウコン、インディアンサフラン
  • 科   名:ショウガ科
  • 原 産 地:熱帯アジア
  • 使 用 部 位:根茎
 <主な成分>
   クルクミン、クルクメン、ジンギベレン、
   ターメロン、シネオール、カンファー
 <主な作用> 利胆、強肝、消炎
 <適  応> 消化不良
 <注意事項>
  ・妊娠中または授乳中に使用しない。
  ・胃潰瘍、胃酸過多、胆道閉鎖症の場合は使用しない。
  ・胆石の場合は医師に相談のこと。
  ・過剰摂取、または長期に渡る大量摂取は控える。
 
 
 

美味しい利用方法

香りや味はあまりないため、
香味料というよりは着色料としての用途が多く、
たくあんやマスタードなどが代表例です。
ヨーロッパでは、サフランの代用品として、
チーズやバターの色付けにも用いられています。
 
カレーパウダーの主原料の一つとしても知られ、
ご飯にターメリックを加えて炊いて、
「ターメリックライス」や「ピラフ」として食されています。

 

クセがほとんどないため、

様々な料理に使用することが出来ますが、

アルカリ性のものに加えると赤く変化するので、
重曹やベーキングパウダーなどと一緒に使う時は注意が必要です。
 
独特のやや土臭いような風味は、加熱することで弱まり、
特に、米、魚、牛肉、鶏肉、
野菜(カリフラワーやじゃがいも、なす)といった
素材に使われます。
炒め物、煮物、揚げ物、スープなど加熱料理に使うと、
味に厚みを持たせる働きをし、カレー粉の主原料のひとつです。
 
 
ホール パウダー 
根茎を一旦茹でてから乾燥させたもの
 
 

その他の利用法

このウコンの黄色い色素成分を「クルクミン」と言います。
油溶性成分なので、馴染んでキレイに色付け出来るため、
昔からアジアの一部の地域では、
絹、木綿、皮革、食品などを染める役割を果たしてきました。
またインドでは、化粧品としても利用されていたそうです。
 
因みに、「クルクミン」は紫外線によって分解される成分のため、
もし衣服についてシミになったら、
洗って日光に当てておくといいでしょう。
 

関連事項

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ターメリックティー