vanilla(スパイス事典)
バニラは、アイスクリームやババロアを始めとする
デザート菓子や各種クリーム、
シロップなどの風味づけに世界中で広く使われています。
バニラについて
歴史
原産地のメキシコでは、先住民が原始的なさやの加工を考案し、
香料として使用を始め、皇帝への貢物としても使われていました。
16世紀にスペインがメキシコを征服してバニラを持ち帰ったことで、
ヨーロッパ中に広まりました。
「バニラ」という名前の由来は、
さやのような形に因んだ「小さな鞘」という意味の
スペイン語の「バイナ」が転じて「バニラ」になったと言われています。
1874年に「人工バニリン」の合成が成功して、
広く一般に出回るようになりましたが、
香りの豊かさでは天然のバニラには及びません。
現在でも天然のバニラの需要は高く、
マダガスカルなどの生産地にとっては貴重な産業となっています。
バニラが高価な訳
元々、植物としてのバニラ自体に香りはありませんが、
長さ12~25㎝の未熟な状態のさやを採取して、
ボイルしてから発酵、天日干し、熟成の作業を数週間行うことによって
芳醇な香りを醸し出します。
その工程は「キュアリング」と言って、
非常に手間が掛かるため、バニラは大変高価。
しかも世界的に需要が高まりから、年々価格が高騰しています。
バニラの産地
同じバニラでも産地により香りや特徴が大きく異なります。
現在、流通しているバニラには主に3種あり、
マダガスカルやインド、インドネシア産の「ブルボン種」と
メキシコ産の「西インドバニラ」、
タヒチ産の「タヒチバニラ」になります。
「ブルボン」種は甘くクリーミーでまろやかな風味があり、
非常に高品質と言われています。
スパイスの特徴
風味と香り
健康効果
バニラの特徴的な甘い香りにはリラックス作用があります。
怒りやフラストレーションを鎮め、
緊張やストレスを緩和してくれます。
不眠症にも効果的です。
バニラの香りには月経を促進する作用があり、
定期的に生理が来るように促してくれます。
また、鎮静作用もあるため生理痛の場合も効果的です。
バニラには甘味を強く感じさせる働きがあるので、
砂糖の使用量を軽減出来るという二次的効果もあります。
美味しい利用方法
一般的には、エキス分を抽出してアルコールに溶かした
「バニラエッセンス」や、
油脂に溶かした「バニラオイル」などが使われています。
・バニラエッセンス
バニラの香り成分をアルコールで抽出したものです。
天然のバニラから香料成分を抽出して薄めた物や、
人工香料を薄めて作られたものがあります。
バニラの甘い香りをお菓子につけて、
お菓子の風味を豊かにする働きがあります。
また、お菓子作りに欠かせない
牛乳や卵の臭みを軽減させる効果もあります。
・バニラオイル
バニラの香り成分を油に抽出したものです。
油性であるため、バターなどの油分と馴染みやすい性質を持っています。
加熱しないと香りがあまり出ず、ベタつくことがあるため、クッキーなどの焼き菓子に使用するのがおススメです。
上手な種の取り出し方
さやは褐色で細長く、光沢があって滑らかです。
周りにバニリンの結晶をついているものが上質です。
高品質のバニラは17~25㎝の長さです。
さやの中には小さな黒い種がたくさん入っており、
芳香な油に包まれています。
さやから使う時は、ナイフでさやを縦に裂いて、
スプーンやナイフの葉先で種しごくように取ると、
無駄がありません。
カスタードクリームなどに使う時は、
牛乳:100㎖に対し、さやは3㎝分が目安になります。
バニラビーンズの保存法と白い結晶物
直射日光・高温多湿を避け、冷暗所にて保存して下さい。
長期保存の場合は冷凍することも出来ます。
なお、バニラビーンズを冷凍庫や冷蔵庫から取り出すと、
表面い白い粉が付いていて驚くことがあります。
この結晶物はバニラの芳香成分である「バニリン」が
低温で凝固したものなので心配ありません。
使い終わったさやの活用法
なお、種を取り出したさやにはまだ香りが残っているので
捨てずに活用しましょう。
粉砕して砂糖に混ぜれば「バニラシュガー」になります。
粉砕せずにシュガーポットに入れておくだけでも、
甘い香りが付きます。
ホットミルクやミルクティを作る時に、
牛乳と一緒にバニラの香りを煮出すのもおススメです。
また、魚の照り焼きを作る時に
タレに種を少量加えると甘い香りが心地よく漂います。