Fenugreek, Kasoori Methi(スパイス事典)
大変古くから様々な用途に使われていたスパイスで、
一般的に種を「フェヌグリーク」と言い、
「メティ(メッチ)」はインド名。
葉を乾燥させたものを「カスリメティ」と言います。
歴史
古代エジプト人は死体に詰めてミイラに香りを移したり、
種をペーストして体に塗ると体温が下がるので、
解熱剤にしたり、
儀式に使うお香に、また牛の飼料にもしていました。
中近東など、宗教上の理由で肉を食べない国では、
栄養価が高い貴重なたんぱく源として重宝されています。
日本には江戸時代に入ってきて、
和名の「コロハ(胡廬巴)」と呼ばれる漢方薬は
腎臓機能障害の改善、下腹部の痛みの緩和、
ヘルニア、下肢の浮腫みの改善に用いられています。
美味しい利用方法
フェヌグリークは、カレーパウダーの重要な材料の一つ。
インドでは他のスパイスと合わせて炒めるものや、
チャツネ、ピクルスに使用します。
エジプトの平らに焼く食事パンにパウダーを練り込むことも。
インドのミックススパイス「パンチフォロン」にも欠かせません。
黄色く固い種子は、
メイプルシロップに似た甘い香りと強い苦みを持ち、
スタータースパイスとして利用されることが多く、
油とともに焦がさないよう注意して炒めて、
香ばしい甘い香りを引き出し、
料理にマイルドな風味を加えます。
種子自体は、炒った後も苦みを有しているため、
量は控えめに用いたほうがいいでしょう。
特に南インド地方では、
豆や野菜、米、魚を主体にした料理に用いられることが多く、
カレーやチャツネなどの材料としても幅広く使われています。
中近東地域では、水に浸した種子を
その他の調味料やスパイスと一緒にすり潰して、
ディップソースの材料にしたりします。
スプラウトや若葉はサラダなどに、
苦みのある成長した葉はカレーや炒め物などの
風味づけに幅広く用いられます。
「カスリメティ」は、
フェネグリークの葉を乾燥させたハーブのことです。
インド料理、主にトマトやほうれん草を使った料理に使われています。
ほんのり苦味があって甘い香りのするハーブです。
健康効果
アーユルヴェーダでは、
神経、呼吸器、生殖器の衰弱状態に良いハーブと言われています。
血糖やコレステロールを減少させる他、
母乳の出を良くする作用もあると言われています。
種を発芽させたスプラウトを野菜として食す場合もあります。