Willow(ハーブ事典)
「ホワイトウィロウ」は水辺に育つ落葉樹で、
名前は葉の裏側に白いトーンから由来しています。
ヒポクラテスが
「ヤナギの皮を煎じて飲むと痛みがとれる」と書いている他、
紀元1世紀頃にはディオスコリディスが
彼の著書『マテリアメディカ』の中で、
背中の痛みを鎮めるために
「ウィロウの葉をコショウ少々とすり潰し、ワインで飲む」
ことをススメています。
西洋では、鎮痛・解熱作用からヤナギの樹皮エキスが、
古来より珍重されてきました。
一方、医薬品製造の歴史の上では
19世紀になり、
「ホワイトウィロー」の樹皮から鎮痛効果を持つ成分が分離され、
「サリシン」と名付けられました。
1860年にドイツの化学者がサリチル酸の合成に成功し、
次いでドイツのバイエル社がサリチル酸に比べて副作用の少ない
「アスピリン(アセチルサリチル酸)」を開発しました。
ホワイトウィロウが「天然のアスピリン」と呼ばれるのは
このためです。
現在では鎮痛剤の「アスピリン」は全て合成になっていますので、
「ホワイトウィロウ」からの抽出は行われていませんが、
ハーブの愛好家の中では
優しい鎮痛剤として使われており、高い人気を誇っています。
「ホワイトウィロウ」の樹皮は
サルチル酸誘導体である「サリシン」を含み、
解熱・消炎・鎮痛作用を持つため
インフルエンザや頭痛、リウマチ、関節炎などに用いられてきました。