からだに優しいもの

とにかく、優しいものです。

ハマナス(浜茄子)

日本のハーブ

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「ハマナス」(浜茄子、浜梨、玫瑰)は、
海岸の砂浜に群落をつくる野生バラです。
夏に赤い(稀に白い)大きな花を咲かせ、
香りがよく、香水の原料になります。
秋には赤く熟した小さな実をつけます。
この実は、「ローズヒップ」として
お茶やジャムになどに利用されます。
根は染料に利用されています。

「ハマナス」とは

 
バラ科バラ属に分類される落葉性の低木です。
日本では、北海道から東日本などの主に
日本海側の海岸の砂地に多く自生しています。
昭和53(1978)年に「北海道の花」に指定され
ました。
 

www.pref.hokkaido.lg.jp

 
「ハマナス」は4万種以上あるバラの品種の中の
「オールドローズ」という原種系です。
 
 
1~1.5m程に生長し、
太い枝には沢山の細かい棘が生えます。
初夏に、野生のバラの仲間では最大級の
直径6~10cm程にもなる紅紫色や白色の
花を咲かせます。
優しい芳香は、香水の原料に用いられます。
 
 
その後、直径2~3cm程の球形の赤い果実が熟し
「ローズヒップ」として活用されます。
 
ハマナスの基本情報
  • 学 名:Rosa rugosa
  • 科 名:バラ科
  • 原産地:東アジア温帯~冷帯
  • 開花期:4~7月
  • 花の色:白、赤、ピンク
  • 別 名:浜梨(ハマナシ)/玫瑰(マイカイ)
        [実] ローズヒップ
  • 英 名:Ramanas rose、Rugosa rose
        Japanese rose
 
名前の由来
赤い果実が梨の形をしていることから
「ハマナシ(浜梨)」と呼ばれるようになり、
それが訛って「ハマナス」と呼ばれるように
なったと言われています。
 
花言葉
  • 照り映える容色
  • 悲しくそして美しい
  • 見栄えの良さ
  • 香り豊か
  • あなたの魅力にひかれます
  • 旅の楽しさ
 
シーボルトと「ハマナス」
江戸時代、オランダ人医師シーボルトによって
「ハマナス」はヨーロッパへともたらされ、
バラと交配させて様々な園芸品種が作られる
ようになりました。
 
シーボルトが帰国後住んだライデン市には
日本から持ち帰った「ハマナス」の標本が
残っていて、「ハマナス」は今では
オランダに定着した花となっていて、
「ヤポンス(ジャパニーズ)ボトルローズ」と呼ばれています。
 

ハマナスの利用

日本では、古くから精油の採取や、
漢方薬として利用されてきました。
 
北海道では、戦前から精油を採取するために
「ハマナス」が栽培されていました。
 
 
江戸時代、秋田藩から蝦夷(北海道)に派遣された
医師・岩谷省達がの『胡地養生考』には、
「アイヌの民族はハマナスの花をお茶にして
 朝夕飲んでいる。その効用は水腫病の治療に
 極めて有効である」と記録されています。
 
現在も、ハマナスの乾燥させた花を
「健康茶」として飲用したり、
生薬として下痢止めや月経不順の改善に
利用しています。
 
 
また優しい芳香を持つ花は、
ダマスク系ローズオイルの代用にも
なっています。
「ローズヒップ」と呼ばれる果実は、
熟せばそのまま食べることが出来ますが、
ジャムや果実酒としても親しまれており、
果実酒には疲労回復や不眠症などに効果がある
と言われています。
 
 
根皮の煎汁は、「秋田黄八丈」の染料としても
利用されています。
 

ハマナスの花に含まれる成分と性質

美肌効果
ハマナスの花には
「ビタミンC」が多く含まれるため、
シミやソバカスの原因となるメラニン色素の
合成を抑え、美肌や美白へと導く効果が
期待出来ます。
 
女性特有の悩みを改善する効果
花には「ゲラニオール」「シトロネロール」と
いった精油成分が含まれ、「リラックス効果」
が期待出来ます。
 
「ゲラニオール」には女性の「ホルモンバランス」
を整える作用があります。
ホルモンの分泌を調節することで、
女性ホルモンの乱れによって生じる、
「生理不順」「生理痛」などの症状緩和が
期待出来ます。
 
また実には、「マンガン」「カルシウム」といった
生理機能の働きを促すミネラルも豊富なので、
ホルモンバランスの乱れが改善され、
「生理不順」「生理痛」の症状緩和の効果的が期待出来ます。
 
生活習慣病の予防・改善効果
ハマナスには、「ビタミンC」「タンニン」
「ポリフェノール」といった「抗酸化作用」を
持つ成分が多く含まれることから
活性酸素を除去し、「動脈硬化」「脳卒中」「心筋梗塞」といった生活習慣病を予防する
効果が期待出来ます。
 
腸内環境を整える効果
ハマナスの果実「ローズヒップ」には、
「食物繊維」が豊富に含まれるので、
食物繊維の働きにより腸の働きを活発にし、
腸内に溜まった不要物を排泄します。
 
また腸内の悪玉菌を抑え、ビフィズス菌を増加させる作用も知られている他、最近では大腸菌やアンモニアといった悪性の腸内細菌を減少させる働きも報告されています。
 
その他最近では、「抗糖化作用」や
「脂質代謝を促進する作用」が報告され、
「肝機能の改善」なども期待されています。
 
ハマナスの効能・作用
  • 使用部分:花、蕾、果実
  • 香り・風味
    [花] 心地よいバラの香り
    [果実]甘酸っぱい
  • 主な成分
    [花] タンニン、アントシアニン、
        フェネチルアルコール、
        ゲラニオール、シトロネロール、
        リナロール
    [果実]ビタミンC、ミネラル、
        ポリフェノール
  • 主な作用
    エネルギー酸性促進、抗菌、抗酸化、
    収斂、抗炎症、緩和

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ハマナスの栽培・育て方

 
耐寒性が非常に強いのですが、
夏の高温多湿は少し苦手なので、
風通しの良い、涼しい場所で育てるように
しましょう。
 
水やりは、鉢植えの場合は
土の表面が乾いたら与え、
地植えのものは特に水を与える必要は
ありません。
 
剪定は休眠期の1から2月に行います。
込み合った部分や枯れた枝や細い枝を
切り落とす程度にして、あまり短く切り詰め
過ぎないようにして下さい。
数年経った枝は、表面が木質化して
成長が衰えるので、根元から切り落として、
若い枝に栄養を回すようにして下さい。
 
植える時期
ハマナスの植え付けや植え替えは
2~3月または10~11月が適期です。
挿し木の場合は3月が適期になります。
 
植える場所
日当りと水はけのよい場所に植えます。
 
植え方
株間を30cm程取り、堆肥と腐葉土を多めにして
植え込んでください。
 
収穫時期
花の収穫は6~8月頃が適期になります。
果実の収穫は9~10月が適期です。
 
収穫方法
<花の収穫>
6月から8月に花が咲いたら
花の根元からトゲに気をつけながら
手で摘み取るようにします。
 
<果実の収穫>
花後の枝を切り落とさないようにして下さい。
7月から8月にの果実が食用になります。
果実は粒が大きく、少量の収穫だけでも
食を楽しむことができます。
果実の根元にもいトゲが多いので
軍手などをして摘み取りましょう。